読書のメモ書き

「獄中記」

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佐藤優氏が2002年に背任・偽計業務妨害で逮捕され拘置されていた時に記した日記。


佐藤優氏はもともと本を読んで、親しい仲間とそれについて語りあうような暮らしがしたかったという。
しかし、多忙な外交官生活の中で時間に追われてできなかった。
そんな状態にあった中で、国策捜査として逮捕された拘留され入ることになった独房。
この独房を自分の本読みや語学、思想にふけることに好都合な環境として活用した。
読んだ本は学術書を中心に約250冊。
書いた原稿用紙に5000枚。
メモ書き大学ノートに62冊。

これに対する本「国家の罠」

国策捜査という作り上げられたストーリーの中で、ストーリーの大枠を崩すことなくプレーヤーとして立ち回りながら、自分が守るべきもののために譲らない姿。
なぜここまで佐藤優という人はゆるがないのかと思っていた。
すご過ぎて少し美化している部分がないかと思いながら読んだ。
それに対する答えがこれに書かれている。
膨大な本に裏づけされた知識、神学の素養、ソ連動乱により経験した無常な世界、他国のインテリジェンスからの学びなどが、その全ての要素になっている。

この本は「外務省内での抗争」「西村検察官の取調べ」「ロシアとの外交」など対人がいる、いわば「表」。
「獄中記」は独房の中で本や人に手紙を通じての自分との対話をしている、いわば「裏」と言える。
こちらを読むことで「国家の罠」の行間を読むことになると思う。

私の好きな部分は「序章」に書かれている和田洋一先生とのエピソード。
和田洋一先生は1938年6月24日に治安維持法違反により逮捕された前科がある。
その時の事を書いた「灰色のユーモア」を佐藤優に送った。
それに対して佐藤優が先生に返した手紙のやりとり。
拘置所の中で自分の芯を失わずにいれたのに生きていると思う。

これからの北方領土の道筋を知る上で

最後の十数ページの「付録」には北方領土に対する問題解決の手法や方向性について書かれている。
今大きく動いているう領土問題について、ニュースを読むにあたり読むべき内容であると思う。

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