私は総務系システムは全てクラウドにした方がいいだろうと考えていました。
しかし色々調べるなかで少し考え方が変わってきました。
基本的にはクラウドにした方がいいのですが、クラウドだからという考え方で導入すべきではないなと思うようになりました。
主な総務系システムを列挙してみましょう。
・給与計算システム
・勤怠管理システム
・人事労務システム
これをクラウドにすべき順番に並べてみましょう。
勤怠管理 > 人事労務 > 給与計算
優先順位の付け方の根拠は利用者数と利用頻度です。
目次
勤怠管理システム
勤怠管理システムはクラウド型がいいです。
勤怠管理システムは利用者数も多く利用頻度も高いので、クラウドの特性が最も活かせるものです。
勤務している人は必ず勤務表を付けます。
働き方によっても異なりますが、毎月20日前後はつけるでしょう。
また残業申請や休暇申請などの申請処理も行いますので、さらに利用頻度は多くなります。
自分の有給休暇が何日あるかの確認も勤怠管理システム上でできれば、使用者にとって非常に楽です。
スマホで勤怠
必ず働き始めと終わりに会社にいるとは限らない業務があります。
私の会社の場合、営業担当者や工事部門の現場担当者は直行・直帰することも多いです。
会社でないと勤怠の打刻ができなければ、直行・直帰の場合は何時に出社退社したのかを記録しておいて、あとから登録しなければならず非常に手間です。
多くのクラウドの勤怠管理システムではスマホで打刻できる機能がついているため、外でも打刻することができます。
スマホに付いているGPS機能で打刻した際に位置情報を持たせることで、どこで打刻したのかを確認することも可能です。
シフト作成について
またシフト勤務を行っている場合、より勤怠管理システムはクラウドがいいです。
勤怠管理システムによっては、シフト作成を補助してくれるものもあります。
私の会社にはシフト勤務で業務を行っている部門が2つありますが、片方が3勤交代制でシフトパターンが3つのみであるのに対して、もう一つの部門は時短帯によって必要な人数が異なり、また勤務時間も4時間などの短時間勤務もあれば8時間勤務あるなど、シフトパータンが10種類異常あります。
前者の部門は月ごとでのシフト管理で十分ですが、後者の部門は日毎に時間帯で過不足がないかを確認しなければなりません。
また後者の方が毎月シフト希望を「聞いて」「まとめて」「調整する」といった工程が必要になります。
「調整」が必要となるのは、聞いたシフトをまとめただけでは、人数の過不足が生じている箇所があるからです。
そのような場合は、入れる人がいないか打診をする必要があります。
現状私の会社では「聞く」処理をグループウエアの機能を使い、「まとめる」のはExcelを使い、「調整」はメールや口頭でやってます。
勤怠管理システムによっては、これらを一元的に行えるものがあり、クラウドだと「聞く」と「調整」の処理をスマホ上で効率的に行うことが可能です。
多様な勤務形態の設定
これはクラウドに限った点ではありませんが、重要な点なので書いておこうかなと。
多様な「勤務形態」が設定できるのは重要です。
就業開始時間や就業終了時間が細かく設定できる勤怠管理システムでないと、打刻したデータをそのまま給与計算に使うことができませんので、細かな勤務形態を設定できる勤怠管理システムでないといけません。
勤怠管理システムを選ぶ際には、自社がどのような働き方をしているのかをきちんと理解した上で選ばないと打刻データは集まったけども、そのままでは使えないといったことも起こりえます。
人事労務システム
人事労務システムもクラウド型がいいでしょう。
特に電子申請ができるのであればよりいいです。
利用している健保組合によっては電子申請ができない場合がありますので、注意が必要です。
人事労務システムを使う主なタイミングは「入社時」「マイナンバー取得」「扶養変更」「住所変更」「退社時」「年末調整」の6つでしょう。
主に社会保険関係と税金関係ですね。
この中で特にクラウドで処理した方がいいものが「年末調整」「マイナンバー取得」です。
年末調整
「年末調整」はまとめて大量の処理を行いますので、WEBで行う方が圧倒的に便利です。
とりあえず「年末調整」は直近の年末調整でクラウド化すべきです。
これは総務だけでなく提出する側である従業員にとっても非常に楽になります。
私の会社の従業員は約450名くらいです。
そのうち派遣スタッフとして派遣されている社員もおり、サポート社員が一人ひとりに渡す必要がありますし、貰いに行く必要があります。
年末はお互いに忙しいなかでスケジュールを調整して紙の受け渡しをするのは時間の無駄でしかありません。
またクラウドで行うことのメリット紙の受け渡しが楽になるというメリットだけではありません。
従業員にサービスにログインしてもらい、ガイドにそって入力していけばよく、保険料控除額も保険支払額を入力すれば自動的に計算してくれますし、入力漏れがあるとエラーになり提出できないので、書類不備がある状態で提出されることはありません。
マイナンバー
「マイナンバー」は法的に決められた人しか受け取れません。
私の会社には派遣事業があります。
入社手続き時の各種説明は派遣部門の担当者がやることになっていますが、「マイナンバー」の受け取りは総務が受け取るルールになっています。
つまり入社手続きの際には必ず総務の誰かがいなければなりません。
そのため事前にスケジュールを確認把握しておかなければならないず非常に手間ですす。
人事労務システムを利用すれば入社する本人がマイナンバーを登録するといった手続きを行うことができますし、クラウドであれば家で行うことも可能です。
入社から退社まで
「入社時」「扶養変更」「住所変更」「退社時」はどうでしょう。
これらの処理は対象者は多いですが、頻度はそこまで多くありません。
「入社時」「退社時」は1回ずつですし、「扶養変更」や「住所変更」も1人がそう何度も行うということはありません。
私の会社の場合、月に5人くらいかなぁといったものでした。
正直、ただ処理のために利用するのであれば費用対効果はそこまででもないという印象ですかね。
じゃあ効率化されないのかというとそんな事ははありません。
提供している会社にもよりますが、どのような点で効率化されるのか考えてみたいと思います。
マスタ情報の共有
「入社時」にもらっておかなければならない書類に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」があります。
扶養に関する情報を得るための書類です。
扶養情報は給与支給額に影響を与えますので、この書類に記載した情報が社員マスタとして給与計算に利用されれば、ミスが生じることはありません。
「扶養変更」も同様です。
またこの書類は年末調整の際にも提出してもらう書類と同じもので、「入社時」に預かった情報がそのまま引き継がれるので、記入する従業員は二度手間がなくなります。
電子申請が簡単になる
税金関係の電子手続きはe-taxを利用します。
それに対して社会保険関係の電子手続きはe-Govというものがあります。
WEBから各種電子手続きが行える仕組みですが、非常に使いにくいです。
まずメニューが多すぎて非常に迷います。
しかし、クラウドの人事労務システムではシステム上から電子申請が可能なように設計されており、e-Govのような面倒くささはありません。
ただ全ての手続が電子申請でできるわけではありませんので注意が必要です。
特に健保手続きは加入している組合が対応しているのか十分確認しましょう。
給与計算システム
給与計算システムはクラウド型でもインストール型でもいいかなと思います。
ただ給与明細や賞与明細などの配布はクラウド型がいいです。
まず給与計算自体は正直そこまでクラウドにするメリットはあまりないかなと思っています。
クラウドの一番のメリットというのは、情報共有機能にあると思っています。
勤怠管理システムは毎日たくさんの人から勤怠情報を収集する必要がありますし、人事労務システムも不定期で生じます。
それに対して給与計算システムは基本的に月に1回勤怠データを取り込むだけです。
勤怠データは勤怠管理システムが収集しますので、給与計算システム自体でたくさんの人から情報収集することはありません。
また月に1回だけの処理なのでAPI連携ではなくCSVによる連携で十分です。
社会保険料を計算するための標準報酬月額を変更したり、扶養が変わったりした場合には、社員マスタを変更しないといけませんが、多くの人は標準報酬月額が変わるタイミングは年に1回で多くありません。
また扶養関係もそう更新頻度が高いものではありませんので、手動で十分だと思います。
給与明細や賞与明細、源泉徴収票などを含めたクラウドであればいいと思いますが、ただ給与計算するためだけであればクラウドである必要はないかなと思います。
費用の話
どちらが安いのかは一概にこっちと言えることはできません。
クラウド型だからインストール型だからといって値段が決まっているわけではありません。
初期費用がかかるものとかからないもの。
1名あたり○○○円と利用者人数によって値段が変動するもの。
100名まで○○○○円と定額なもの。
これはクラウド型でもインストール型でもある料金体系です。
またインストール型の場合は、インストールのためのサーバーやパソコンを用意しなければならず、かかる費用も利用料だけではありません。
保守管理する人も必要になります。
まとめ
基本的にはクラウドにした方が得られるメリットの方が大きいです。
給与計算や人事労務の入社から退社までの手続きについて、クラウドによって得られるメリットは限られていると書きましたが、得られるメリットは間違いなくあります。
ちなみに私はすべてクラウドにしようと調べているところです。