月一で経理の勉強会を開催しています。
毎回テーマを決めてそれについて話し合う勉強会です。
今度のテーマは「管理会計」
テーマを設定して、改めて「管理会計」とは何かを考えてみました。
「財務会計」
「管理会計」を説明する前に「財務会計」についてちょっと簡単に説明。
「財務会計」とは外部の利害関係者に会社の経営成績や財政状態を開示するために作成するものです。
そのため「財務会計」は作成方法に一定のルールにがあります。
なぜルールが定められているかというと、会社が自由な処理方法や表示方法で作成すると、外部利害関係者である株主や銀行などが財務諸表を見たときに、会社の経営成績や財務状況を理解することができないからです。
「管理会計」
「管理会計」は会社を管理するための会計で、作成方法にルールはありません。
「財務会計」で作成された財務諸表では見えてこない会社の状況・状態を見るために作成するものです。
もっと具体的な説明をすると、管理会計の目的は「現状分析」と「将来分析」です。
現状分析
まず最初にこちらの損益計算書。
※「財務会計」のルールで作成した損益計算書のかなりはしょったバージョン
この「損益計算書」に別の視点を入れた「損益計算書」を作成してみましょう。
「月別推移損益計算書」
「部門別損益計算書」
最初の損益計算書では見れなかった情報が見えてきました。
「月別推移損益計算書」は月ごとの経営成績を見る事ができます。
「部門別損益計算書」は部門ごとの経営成績を見る事ができます。
じゃあこの「損益計算書」はどうでしょう。
売上原価のより詳細な内容がわかる損益計算書になりました。
そこに部門情報を追加してみましょう。
部門ごとの人件費はいくらかが見えてきました。
これまでの色々な損益計算書は財務会計のルールに基づいて作成されたものに、情報を追加して現状分析が可能にしたものです。
つまり集計軸を変えただけで、元になるデータは同じです。
将来分析
先ほどまで紹介した損益計算書は実績値を使って作成したものです。
管理会計と財務会計の大きな違いは、将来情報を加えたもの内容でも作成する点です。
財務会計での損益計算書では、将来の数値が入る事はありません。
ですが、経営者は現状分析以上に将来の見通しを知りたがります。
このような「(将来)損益計算書」を作成してみました。
「01実績」「02予想」「03見積」の3領域があります。
文字の通り「01実績」は確定しているもの、「02予想」「03見積」は未確定のものです。
未確定の中で「02予想」「03見積」と分けたのは、その中でも色合いが異なるものが混じり合っています。
契約書や注文書に基づく数値は、ある程度確定している数値と言えます。
ある程度と書いたのは、書面に書かれた数値は基本金額であったり、単価金額であったりと実際に終わった後でないと金額が確定しないものもあるからです。
これは「02予想」と分類します。
見積書の数値も未確定な数値です。
見積書はこれから売上になる事が期待されるものです。
ですが、その内どれだけ受注に結びつくかは担当者自身も判断が難しいところです。
確実と思っていても、ひっくり変えることもあります。
ただそれを踏まえても、会社とし受注に結び付いていない見積がどれだけあるかを把握しておくことは重要です。
売上の目標に達してない見通しの場合、いかにそこから受注するかが大切になってくるからです。
それを見えるようにするために「03見積」として入れています。
まとめ
管理会計の目的は現状分析と将来分析です。
「分析したい目的はなにか?」
「そのためにはどのような表現をする資料が必要なのか?」
これらをはっきりさせると、足りない情報が見えてきます。
足りない情報を拾い上げるために、どのような仕組みを作り上げることも管理会計で求められるスキルと言えます。