有価証券とは、株式や社債、国債などの証券をさします。
売る事で現金に換えたり、所有する事でお金がもらえたりします。
株式・・・株式会社が資金調達を目的として発行する返済義務のない有価証券。一般的には「株」と呼ばれる。所有していると「受取配当金」を受け取れます。
社債・・・株式会社が資金調達を目的として発行する返済義務のある有価証券。所有していると「有価証券利息」を受け取れます。
国債・・・国が資金調達を目的として発行する返済義務のある有価証券。所有していると「有価証券利息」を受け取れます。
他にもありますが、とりあえず以上のものを押さえておきましょう。
学ぶ勘定科目
・売買目的有価証券(資産)
・受取配当金(利益)
・有価証券利息(利益)
・有価証券売却益(利益)
・有価証券売却損(損失)
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有価証券の色々
簿記では目的などにより表記する勘定科目名が異なります。
・売買目的有価証券
・投資有価証券
・満期目的有価証券
などなど
ただし、簿記3級では「売買目的有価証券」しか出題されませんので、他は省略します。
売買目的有価証券
売買目的有価証券とは売買して儲ける目的で所有する有価証券をいいます。
売買目的有価証券の処理金額
売買目的有価証券は資産です
株式を購入するとき、たいてい手数料がかかります。
有価証券の仕訳では、株式自体の価額だけでなく、手数料も加えた価額で処理します。
この株式自体の金額に手数料等を加算した価額を取得原価といいます。
取得原価=購入代価+付随費用
売買目的有価証券を売買した時の処理
売買目的有価証券を買った時
例題:売買目的でA社株式100株を1株100円にて購入し、購入手数料1,000円とあわせて現金で払った
仕訳
上場している株式は常に変動しているので、買った時と売った時では価額と違う場合がほとんどです。
有価証券売却損 = 買った時の価額 > 売った時の金額
有価証券売却益 = 買った時の価額 < 売った時の金額
先ほどの仕訳で買った11,000円で購入した株式。
売却する時の価額が10,000円だった場合、-1,000円(10,000-11,000)の損失が生じます。
この場合、1,000円の有価証券売却損が生じます。
仕訳
もし11,000円で購入した株式が売却した時12,000円だった場合、1,000円(12,000-11,000)の利益が生じます。
この場合、1,000円の有価証券売却益が生じます。
仕訳
受取配当金の処理
株式を所有していると、配当金を受け取ることがあります。
配当金とは、株主(株を持っている者)に分配される株式会社の利益です。
配当金の受取りは、配当金が確定すると、株主に配当金領収証というものが送付されます。
この配当金領収証を金融機関へ持っていくと現金を受け取ることができます。
所有するA社株式の配当金として、配当金領収証100円を受け取った。
社債や国債などの債券の処理
既に説明をした社債や国債ですが、問題では以下のように出題されます。
例題
売買目的でA社社債(額面総額10,000円)を額面100円につき、95円で購入し、代金は購入手数料200円とともに現金で支払った。
注目点1
「額面総額10,000を額面100につき」
債券の一単位を1口と言います。
この場合、一口100円が100口あるので、額面総額10,000円となります。
注目点2
「額面100円につき、95円で購入し」
本来100円である債券を95円で購入したわけです。つまり5円安く購入したわけです。
債券というのは、資金調達をするために発行する有価証券です。
購入者は100円の債券を100円で買っても得しませんので、買いません。
発行者はお金を集めるために発行しているのに、買ってくれない人がいなくては困ります。
ですので、一口あたりの値段を安くして販売するわけです。
債券は満期になると額面金額でお金が戻ってきます。(償還といいます)
つまり、一口95円で購入したものが100円で戻ってくるので、一口あたり5円の儲けです。
この購入時と償還時の差額による儲けを償還差益といいます。(覚えなくていいですよ)
注目点3
「代金は購入手数料200円とともに」
これは株式の購入と同様、購入に手数料がかかる場合がほとんどです。
その時に生じた手数料は取得金額に含めます。
仕訳
有価証券利息
債券のお得な点は、償還差益だけではありません。
債券は所有しているということは、債券の発行者に対してお金を貸している状態になります。
ですので、一定期間ごとに利息を受け取る事があります。
債券の利息を受け取ったときは、有価証券利息(収益)で処理する
例題
所有するA社債の利払日が到来し、利息100円を現金で受け取った
債券の売却
債券を満期まで所有せず、途中で売ることもできます。
売却による処理は株式と同様で、取得価額と売却価額の差異により異なる勘定科目で仕訳をします。
「買った時の価額 < 売った時の金額」の場合
売買目的で所有するA社社債(額面総額10,000円、取得原価9,600円)を額面100円につき、94円で売却し、代金は現金で受け取った。
仕訳
「買った時の価額 > 売った時の金額」の場合
売買目的で所有するA社社債(額面総額10,000円、取得原価9,600円)を額面100円につき、98円で売却し、代金は現金で受け取った。
仕訳
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