固定資産の項目で「減価償却費」について少し触れました。
固定資産についてはこちら→簿記3級で出る勘定科目「固定資産」
『減価償却費』の目的とは
・適正な一定期間の損益計算のため
・価値減少の数値化のため
適正な一定期間の損益計算のため
固定資産を取得年度に全額を費用とするのではなく、利用可能年数にわたり費用配分する事で、初年度に費用が過大に、2年目以降費用が0円にならないようにします。
わかりやすいように不動産投資を例に説明します。
不動産投資は人に不動産を貸し、家賃収入という利益を得るというものです
不動産価格が1,000万円
それに対する毎月の家賃収入が10万円。年間収入は120万円
図解①
この図では初年度は880万円の損失となり、以降毎年120万円の利益となります。
そうなると初年度は利益は出てませんので税金は0円。
以降毎年120万円に対して税金がかかる事となります。(損失の繰越は加味しない)
そうならないように不動産価格1,000万円を不動産を貸して利益を出すことができる期間わたり費用配分します。
仮にこの不動産を10年間に貸して利益を出せるとした場合
1,000万円÷10年間=100万円
100万円ずつ毎年費用計上する事となります。
これが『減価償却』です
図解②
120万円-100万円=20万円
毎年20万円が利益となり、この20万円に対して税金がかかることとなります。
つまり、
長期にわたって利用する固定資産を利用期間にわたり費用配分することで、利益がいびつにならないように処理することです。
価値減少の数値化のため
固定資産は購入した時点から価値は減少していると考えられています。
例えば、今日買った車を一週間乗って売った場合、購入した価額で売れる事はほぼありません。
つまり、価値の減少しているわけです。
しかし、どれくらい価値が減少しているかは売る時点までわかりません。
そうなると、売った時に固定資産の価値が大きく下落していた場合、売った時に大きく損失が出てしまいます。
そうならないように時間経過とともに下がる価値を会計的に計算して認識するという目的です。
例題:取得原価100円の固定資産を5年間利用して50円で売却。
・毎年減価償却費を10円計上している場合
1年目~5年目
減価償却費計上処理(直接法)
売却時
毎年減価償却費を10円計上していない場合
1年目~5年目
仕訳なし
5年目
売却時
このように減価償却をしていない場合、売却時に大きな費用(固定資産売却損)が計上されてしまいます。