予算作成

個別・部門利益率の決定から会社予算決定まで-予算作成入門⑤

更新日:

1187066
これまでの記事
予算作成の目的と必要性-予算作成入門①
予算を作成するにあたり押さえておきたい3つのポイント-予算作成入門②
人件費予算と施設(固定資産)予算ー予算作成入門③
経費予算のために経費を固定・共通に細分化ー予算作成入門④

今回が予算作成入門の最後記事です。
予算試算シートはこちら→予算試算シート

個別利益率・部門利益率を求める

F列の「個別収支」を入力して個別利益と個別利益率を決めます。
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2つの列が用意してあるのは、左が部門として見通しが可能な数値ですね。

予算において経営層が求める数値と部門が可能と思う数値には開きがあります。

経営層はより大きな数字を、部門は保守的な数字を提示します。

そこでまずは左列には、部門長が提示したい数字を入力し、右列には経営層が求める数字との差異を入力します。

今後の予算会議中で最も議論になる部分です。

すでに入れている共通費と合わせて部門利益と部門利益率が決まります。

ここで決まった個別利益率と部門利益率が前年度と比較します。
低い場合は何を理由に低くなったのかを確認しましょう。
特別要因がないのであれば、原則前期より低い利益率は認められません。

個別収支を見る必要があるのか?

私の会社では個別原価計算を利用しています。
発生した売上や費用にはユニークなプロジェクトコードを持たせることにより、プロジェクトごとの収支を見ることができます。

しかし、会社によっては個別収支まで見なくても業務もあります。

私の会社では、「コールセンター」「監視」「工事」「人材派遣」「物品販売」と異なる業務を行っており、それぞれの業務で異なる原価管理を行っています。

「コールセンター」や「監視」の場合
様々な会社の業務代行を行っており、1人が1つの会社を担当するわけではなく、複数人が複数社の対応をします。
ですので、個別原価計算そぐわない業務です。

「人材派遣業務」の場合
派遣した社員に対して売上が発生しますので、個別原価計算で収支を見るべき業務です。
また人材派遣では派遣会社がどれだけ利益を得ていいかも決められていますので、儲けすぎないようにするためにも、個別原価計算が必要となります。

「工事」の場合
個別原価計算が求められます。
工事の場合、期をまたぐ可能性があります。
その際にまだ完成していない売上に対応する原価を当期原価としてしまうと、利益が過少となり脱税行為になってしまう危険性があります。

そのために私の会社では人件費を工数管理をして、未成工事に対応する人件費は完成まで送る処理をしています。

「物品販売」の場合
私の会社の「物品販売」は小売業と異なり、一つ数百万~数千万するものを扱っており、在庫を基本持ちません。
そのための個別原価計算での処理で対応しています。

つまり「コールセンター」や「監視」は部門全体で利益管理が必要となります。
新しい業務を受注する際には、受注金額に対して新しく必要となる費用が賄えるかどうかが、受注の可否判断になります。

それに対して「人材派遣」「工事」「物品販売」はプロジェクトごとで利益率を守っての利益が取れるかどうかが受注の可否判断になります。

小売業の場合は、「02材料費」を「仕入原価」と置き換えて考えてください。

販売管理費予算を作成する

基本的な作成方法はこれまでやってる方法と同じです。
ただ売上予算がありませんので、作成する部分が列A~Dまでになります。
基本的に管理予算は予算が立てやすいです。
それは売上に伴っての費用の増減が発生しにくいからです。
また管理部は他部門の予実管理でうるさい事を言わなければならない立場なので、より厳密な予算編成が求められます。

目標予算との差異を埋めていく

各部門予算と販売管理費予算を合わせることにより営業利益が決まります。
経営層が目標とする営業利益とに差異がある場合、その差異を埋めていく必要があります。
予算試算シートで「個別収支」列を2つ設けていました。
うち「個別収支(努力)」となっている部分について、どれだけ実効予算として部門に納得させるかが差異の交渉になります

これ以降どう着地させるかは会社によって異なります。
ただ実際に稼働し始めてから、やっぱり無茶な数字だったとか、甘くし過ぎたということにならないようになるのが理想です。

まとめ

5回に分けて予算作成について紹介しました。
予算ってめんどくさいです。
でも予算を作成することで、会社の利益構造が見えてきます。
何に費用が掛かっていて、利益を伸ばすにはどうするべきなのかが見えてきます。
それを改めて会社として部門として考えるために必要な作業なのです。

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